ガイド鏡の焦点距離

私の天体写真用の機材でもっとも頻繁に更新していたのがオートガイド用の機材です。その理由は、なかなか満足できるシステムにならないことです。その原因は、過不足のない程よいガイド精度がどのくらいなのかが、よく分からないことだと思っています。要するにガイド鏡の焦点距離は何mmあれば十分なのか? ってことです。

もちろん、焦点距離だけではなくてガイドカメラの画素ピッチと合わせてガイドシステムの分解能で測る必要があるので、ここでは1ピクセルの画角であるFOVpp (ビューのフィールド パー ピクセル) を使います。一般に画角と言うと対角線の画角ですが、ここでは画素ピッチを使って水平または垂直の画角とします。

まずはガイドされる側、撮影鏡のFOVppを求めます。私の撮影鏡の焦点距離は1200mm、パラコアで焦点距離が1.15倍に伸びるので、1380mmになります。撮影用カメラの画素ピッチはKAF8300なので5.40μmです。このシステムのFOVppを簡易計算式に当てはめると下記のようになります。

FOVpp 206 × 5 を =. 40μm÷1380mm = 0.806秒角

これをガイドするにあたり、少なくとも半ピクセルのガイドエラーを検知して補正できるようにガイドシステムの分解能は0.403秒角は欲しいところです。博士 guiding等のオートガイダーはガイド星の重心をサブピクセル、つまり0.1ピクセルの精度でガイドすると言われています。従って、0.1ピクセルの画角が0.403秒角になればいいので、ガイドシステムのFOVppは4.03秒角 (あるいはこれより小さければ良い) ということになります。ここから、QHY5L IIをガイドカメラにした場合に必要なカイド鏡の焦点距離を計算します。QHY5L-IIの画素ピッチは3.75μmなので、

FOVpp 4.03 = 206 × 3 を = します 75÷fl。
フロリダ 206 × 3 を = します 75÷4.03 = 192 mm。

となります。ペンシルボーグの焦点距離175mmでは少し足りない。コ・ボーグ36EDの200mmなら十分ですね。同様にガイドカメラがQHY5 (SSAG) なら、

FOVpp 4.03 = 206 × 5 を = します 20÷fl。
フロリダ 206 × 5 を = します 20÷4.03 = 266 mm。

となります。ミニボーグ50の250mmではわずかに足りない。ミニボーグ45ED IIの325mmなら十分ですね。少し長すぎるかな? ま、以前はQHY5とミニボーグ45ED IIの組み合わせでしっかりガイド出来ていました。下記はその当時の写真で、親子ガメ方式で同架していました。

Mini BORG 45ED II ・ QHY5

下記のグラフはこのシステムでM27アレイ星雲 (赤緯23 °) を撮影したときの約2.5時間分のガイドエラーの分布で、約90% がく-0.2 〜 + 0.1ピクセルの間に収まっています。これを角度に換算すると-0.66秒角 〜 + 0.33秒角なので振れ幅は約1秒角ですね。目標の±0.4秒角より少しだけ大きいですが十分な精度が出ていると思います。ちなみにガイドカメラの露光時間は5秒です。

MiniBORG45ED + QHY5_Graph

下の写真はM27アレイ星雲中心付近を切出したもので、5分露光1枚をレベル調整しただけです。微光星が3×3ピクセルのなかに収まっていてちょうどいい感じです。

M27

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